大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
落ち葉の焼却から生成するダイオキシン類に関する考察
早福 正孝辰市 祐久古明地 哲人岩崎 好陽
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 37 巻 2 号 p. 122-130

詳細
抄録

家庭用焼却炉を用いて3種の落ち葉 (ケヤキ, スダジイ, シラカシ) を焼却し, その結果を用いてダイオキシンの生成要因を考察した。
葉, 焼却排ガス, 焼却灰中のダイオキシン類の濃度は, 葉の種類による大きな違いはなかった。しかしケヤキの排ガス中のダイオキシン類濃度のみは, スダジイ, シラカシに比べると高濃度であった。このケヤキの排ガス中ダイオキシン類の高濃度は, 葉中の塩素含有量に影響を受けているものと思われた。そこで, 都内の公園や街路における14種類の樹葉の塩素含有量を調査した。その結果, ケヤキの葉中の塩素含有量が最も多かった。
焼却排ガス中のダイオキシン類濃度 (Y: ng-TEQ/m3N) と焼却物の塩素含有率 (X:%) の間に
Y=308X1.3(R2=0.9485n=12)
の関係式が得られた。この式から, 塩素含有率が10倍ずつ増加すると, 焼却排ガス中のダイオキシン類濃度は約20倍ずつ増加することになる。
塩素含有量の多いケヤキの葉の焼却排ガスは, 低塩素化ダイオキシン類を多く生成させた。

著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top