大気環境学会誌
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東京の山間部におけるモミ林の衰退分布の特徴
新井 一司久野 春子鈴木 創遠竹 行俊大喜多 敏一
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2002 年 37 巻 3 号 p. 184-191

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抄録

モミの衰退木の調査方法を確立し, 東京におけるモミの衰退分布を明らかにするために, 1992年から1993年にかけて山間部を対象に衰退度の評価を107地点, 618個体について行った。調査方法は, 小枝の枯損, 枝葉の密度, 樹形と樹勢の4項目の値を合計した衰退度合計指数が評価基準として有効であった。小枝の枯損と枝葉の密度における衰退度階級2以上の明らかな衰退がみられた個体の割合は, 各々45.2%, 45.6%であった。モミの衰退は, 地形的要因である傾斜や起伏の状態とは関係がみられなかった。一方, 広域的な広がりである緯度, 経度との間には相関関係がみられ, 山間部の南東の地域ほど, 衰退が激しく, 北西部で衰退の程度が弱まる傾向がみられたが, 北西部の一部の谷地形では, 被害がみられた。海抜高は, 250m以下の低い地域ほど衰退が激しく, 高い高度で健全な傾向を示すものの, 750m以上という高い地域でも57.9%の地点に弱いながらも衰退現象がみられた。

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