大気環境学会誌
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組成別SPM濃度シミュレーションモデルの開発と初冬季高濃度大気汚染への適用 (II)
モデルの概要および予備的計算結果
兼保 直樹吉門 洋近藤 裕昭守屋 岳鈴木 基雄白川 泰樹
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2002 年 37 巻 5 号 p. 302-319

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抄録

光化学反応過程・二次粒子生成を含むSPM主要構成物質の移流拡散モデルを構築して, 関東平野に冬季に出現する高濃度SPM現象の再現を試みた。気象データとして局地気象モデル出力値を, また発生源データとしては第1部で開発した発生源モデルを用いた。二次粒子生成モデルは, ガスー粒子平衡モデルによりNH4NO3およびNH4Clを, SO42-形成は光化学反応モデル内でSO2と OH・の気相反応のみを考慮, 二次OCについては簡単なパラメタリゼーションによりNMHC濃度計算値から推定した。各成分濃度の計算値は, 1994年12月23~25日に野外集中観測が実施された東京都神田・府中, 埼玉県浦和・熊谷, 茨城県つくばにおける測定値によって検証した。計算された各成分濃度は, 都心部にある神田・浦和・府中においては, 経時変化・濃度レベルともに概ね良い再現性を示したが, 郊外部にあたる熊谷・つくばにおいては計算値が実測値を大幅に下回る場合が多く, 発生源モデル・気象モデル等の改善の必要性が示唆された。

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