大気環境学会誌
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浮遊粉じん環境レコーダと簡便な測定方法の検討
池田 幸介渡辺 正満
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2003 年 38 巻 3 号 p. 179-189

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抄録

情報通信において光ファイバーなどの光部品が増加するなかで通信機械室における浮遊粉じん環境測定はますます重要になっている。通信機械室における浮遊粉じん環境測定をより安価でかつ簡便に行うために,「浮遊粉じん捕集機能」と「浮遊粉じん測定機能」を分離し, 捕集機能では試料を自動的に交換する方式と測定機能では光学的な簡便な方式を検討した。以下に主な検討結果を示す。
(1) 浮遊粉じん濃度を浮遊粉じん捕集用フィルタに1ヵ月から2年間の長期に渡って連続的に捕集する「浮遊粉じん環境レコーダ」を作製した。
(2) 浮遊粉じん測定方法として光反射方式を検討して, 浮遊粉じん捕集用フィルタの浮遊粉じん質量濃度と明度指数との相関関係が非常に強いことを見出した。その相関係数は0.961であった。
(3) 本レコーダの吸引流量を変数とする補正係数を算出し, 浮遊粉じん捕集用フィルタの明度指数変化から浮遊粉じん質量濃度を求めることができることを示した。また, 複数台の本レコーダの同時測定結果より, 本レコーダのデータ変動幅は±5%以下であった。
(4) 本レコーダを複数のNTT機械室に設置して同時測定を行った結果, 同一ビル内でも浮遊粉じん環境が大きく異なることを示すとともに, 浮遊粉じん環境の相対的な優劣を容易に判定できることを示した。

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