大気環境学会誌
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新潟市西部地域における露および霜の化学成分的特徴とその沈着量
福崎 紀夫近藤 聡美大泉 毅
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2003 年 38 巻 4 号 p. 236-243

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抄録
新潟市西部地域において, 露および霜を2001年4月中旬から2002年4月中旬まで, 1年間を通してテフロンシートを用いて捕集し化学成分を測定するとともに霧水および乾いたテフロンシートへの乾性沈着との比較を行った。また, 露および霜に伴う沈着量をろ過式捕集法による大気沈着量と比較した。露水量等で重み付けした露霜および霧の年間平均pHは, それぞれ, 5. 9, 5. 8および3.7であり, 大気沈着物の4.7に比較して, 露および霜ではこの値よりも高く, 霧では低い値であった。露および霜中の平均化学成分濃度は, 霜では海塩成分濃度が, 露ではNH4+, K+並びに有機酸 (HCOOHおよびCH3COOH) 濃度が高い値を示した。降水量に換算した年間の露水量は約15.0mmであり, これは大気沈着物測定による年間降水量の約1.0%に相当した。大気沈着量に対する露および霜に伴う沈着量の割合が比較的大きな値を示した成分は, NH4+, nss-Ca2+, K+であった。露および霜に伴う沈着には乾性沈着の影響が大きいが, 露中のH+, HCOOHおよびNO2-は乾いたテフロンシートに対する乾性沈着との差が大きく, 露の酸性化には蟻酸, 亜硝酸若しくは二酸化窒素 (NO2) の溶解による影響が大きいことが示唆された。
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