大気環境学会誌
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メソスケール気象モデルと結合した大気化学物質輸送モデルの開発と三宅島火山ガスの大気拡散への適用
西沢 匡人茅野 政道
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2004 年 39 巻 1 号 p. 31-42

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抄録

大気化学物質の動態を詳細にシミュレートするために, メソスケール気象モデルと結合した大気化学物質の輸送モデルを開発し, 三宅島雄山からの火山ガスの大気拡散に適用した。このモデルは, 気象場の計算のためにPSU/NCARMM5を使用し, MM5に大気化学物質の移流, 拡散, 化学反応, 沈着過程を追加したものである。
本論文では, 2000年8, 9月の関東, 中部, 関西地方における三宅島火山ガスの挙動と気象条件との関連, および二酸化硫黄 (SO2) 濃度分布に対する三宅島火山ガスの影響を調べた。
結合モデルによって得られた結果を観測値と比較したところ, モデルは気象場, 三宅島火山ガスの到達による地上SO2濃度の上昇, 硫酸イオンの湿性沈着量をおおむね再現することができた。
また, 三宅島火山ガスの本州本土への輸送において, 日本周辺に位置していた低気圧, 台風前線移動性高気圧といった総観規模の気象現象が重要な役割を果たしていることが明らかになった。更に, SO2濃度分布に対する三宅島火山ガスの影響は計算領域全体にわたって見られた。

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