大気環境学会誌
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北海道東部沿海における霧およびエアロゾルの季節変動
三浦 二郎山形 定太田 幸雄村尾 直人
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2004 年 39 巻 2 号 p. 63-76

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抄録

霧によるエアロゾルの変化をとらえるため, 北西太平洋上および根室海峡~南オホーツク海上で霧多発期間 (2001年4月, 7月) と霧がほとんど発生しない期間 (2001年10月, 2002年1月) にガス成分 (SO2, NH3), エアロゾル (粒径2μm以下の微小粒子, 2~10μmの粗大粒子, 10μm以上の水滴) を捕集し主要無機イオン成分の分析を行った。 単独で発生した霧に対して事例解析を行った結果, 霧形成時には2μm以上の水滴へのNH3, HNO3ガスの吸収が, 霧消散時には水滴の分裂で微小粒子領域のNaCl粒子の増加が確認された。
そこで, 霧形成時のガス吸収, 霧消散時の水滴分裂がエアロゾル化学組成の季節特性の変化にまで寄与しているかどうかを確認するため, ガス吸収は粒子化率, 水滴の分裂は微小粒子分率を用いて調べた。 SO42-, NH4+の粒子化率は霧多発期間であった4月, 7月に増加しており, 霧の発生によりガスの吸収量が増加したことが示された。 また, Na+の微小粒子分率は観測期間の平均値でも10月や1月に比べ3倍の違いが生じており, 霧が多発する地域においては分裂現象が頻発する環境にあると判断された。 よって, 水滴のガス吸収および水滴の分裂の影響はエアロゾルの季節傾向にまで及んでいることが示唆された。

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