大気環境学会誌
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大気中アンモニアガスおよびアンモニウムエアロゾルの窒素同位体比
早坂 英明福崎 紀夫近藤 聡美石塚 紀夫戸塚 績
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2004 年 39 巻 6 号 p. 272-279

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抄録
新潟平野の西部に位置する国設巻酸性雨測定局において, 大気中のアンモニアガス (NH3) およびアンモニウム (NH4+) エアロゾルを, ハイボリュームエアサンプラーを用いて捕集し, これらの大気中濃度を測定するとともに窒素同位体比を測定した。巻測定局における大気中NH3濃度は日本国内では平均的な値であり, NH4+エアロゾル濃度はNH3濃度に比較して低い値となっていた。一方, NH3の窒素同位体比 (δ15N-NH3) およびNH4+エアロゾルの窒素同位体比 (δ15NNH4+) の平均値は, それぞれ,-8.3および+22.1%。と大きな違いが見られた。Heatonら (1997) の硫酸塗布ろ紙へのNH3の乾性沈着実験におけるガスーエアロゾル間の同位体比の変化等を考慮すると, 当調査地点のように大気中NH4+エアロゾル濃度に比較してNH3濃度が高い場合にはアンモニアがスーエアロゾル間に十分な化学平衡が存在し, 平衡同位体分別効果によりNH4+エアロゾルの窒素同位体比はNH3の窒素同位体比よりも高い値を示す可能性が指摘できる。
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