大気環境学会誌
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開光路型分光計を用いた大気中VOC濃度の測定
下田 昭郎速水 洋
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2005 年 40 巻 1 号 p. 21-31

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抄録

電力中央研究所で開発した大気中複数成分の同時測定が可能な開光路型分光計の測定可能波長領域には, 健康への影響が懸念されている浮遊粒子状物質 (SPM) の生成と深く係わりのある揮発性有機化合物 (VOC) の吸収帯が存在している。本研究では, 開光路型分光計を用いてVOC7成分とオゾン, 二酸化硫黄の同時濃度測定を試みた。測定スペクトルから気体濃度を推定する際には, 測定スペクトルに大きく影響している酸素分子の吸収構造を除去し, 濃度推定精度の向上を図っている。濃度推定値は, 同時に行った吸引大気の測定値との比較によって, 妥当性が検証された。比較の結果, 測定期間中に検出限界以下の濃度であった1成分を除く8成分について, 両者は良い相関を示した。また, VOCの濃度推定値の時間変化と, 化学発光法による窒素酸化物濃度の時間変化は良い一致を示し, VOCの発生源である自動車排ガスの影響を適正に捕らえていた。

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