大気環境学会誌
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EANETモニタリングサイトにおける2001年の硫黄酸化物年間沈着量の推計
小南 朋美松田 和秀大泉 毅原 宏
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2005 年 40 巻 3 号 p. 104-111

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抄録
2001年本格稼働を開始した東アジア酸性雨モニタリングネットワークの活動の一環として, 2001年のモニタリングデータ報告書が公開されたことを受け, 現時点で可能な乾性沈着推計手法を適用してEANETサイト19地点における硫黄酸化物年間沈着量を推計し予備的な解析を試みた。乾性沈着量は世界気象資料及び米国地質調査局の土地利用データからSO2と粒子状nss-SO42-の沈着速度を計算し, それぞれの大気中濃度との積により推計した。推計されたSO2と粒子状nss-SO42-の土地利用別の沈着速度はこれまでの知見の範囲内にあった。硫黄酸化物年間沈着量は中国の測定地点で他地点より高い値となった。乾性及びnss-SO42-湿性沈着量と人為発生源からの硫黄排出量との比較 (沈着量一排出量) より, モンゴルの1都市, 中国内陸2地点, 東南アジアの2都市で沈着量に比べ排出量が明らかに多く, 中国沿岸1地点で排出量に比べ沈着量が明らかに多くなり, 硫黄酸化物の流出, 流入があると示唆された。また, モンゴル, 日本, マレーシアの遠隔域の地点間で収支を比較した結果, 日本の遠隔域で他地域から硫黄酸化物の流入があることが示唆された。
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