大気環境学会誌
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通風を考慮した沿道高濃度対策の検討
1/100大縮尺模型を用いた風洞実験
上原 清松本 幸雄林 誠司山尾 幸夫若松 伸司大原 利眞
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2006 年 41 巻 2 号 p. 91-102

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抄録

幹線道路の内部では周囲を取り巻く建物群によって複雑な気流を生じ, 地面に近いほど大気汚染物質が滞留しやすい。本報告では, 川崎市池上新町交差点周辺の市街地における局所の沿道高濃度の発生メカニズムと流れ場との関連を風洞実験で詳細に調べることによって, 道路の通風を考慮した大気汚染濃度の低減手法を検討した。その結果, 次に述べるいくつかの知見を得た。
1) 歩道と車道の境界に設置された防音壁 (高さ5m) が道路周辺の濃度分布に及ぼす影響は小さい。
2) 車道の自動車排ガスを吸引し上方に排気するファンを歩道に設置したとき, その配置や運転条件によっては, 道路内部および後背地の濃度をおおきく低下させる可能性がある。
3) 地上の交通を高架道路上にバイパスさせたとき, 幹線道路内部と道路に近い後背地の濃度が低下する。
4) 大型自動車排気管の取り付け位置を, 現行の車体下部から荷台上・上向きに変更したとき, 幹線道路内部および道路に近い後背地の濃度は低下する。

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