2007 年 42 巻 3 号 p. 162-174
フィルターパック法は粒子状水溶性イオン成分, 二酸化硫黄, 硝酸, 塩化水素およびアンモニアガス成分濃度の同時測定法として広く用いられてきた。 本研究では, さらに亜硝酸ガスを含む多成分同時測定法について検討を行った。 フィルターパックは原則5段で構成され、 テフロンフィルター、 ナイロンフィルター、 1段目のアルカリ含浸ろ紙、 2段目のアルカリ含浸ろ紙及び酸含浸ろ紙である。 室内実験の結果、 アルカリ含浸ろ紙におけるNO2の捕集は、 その濃度の1%以下であることが認められた。 このことによりNO2の妨害については, 2段目のNO2-+NO3-捕集量から評価可能と分かった。 この原理は拡散デニューダの場合と同様である。 これにより, HONO濃度が評価可能と考えられた。 そこで、 2003年10月~2006年3月までの3年半, 札幌市内において拡散デニューダ法との並行試験を行った。 両方法の測定結果は, 非常に良い合致を示し、 相関係数は0.950と高く, 近似式はy= 1.09x+2.28と傾きは1に近く, 切片も小さかった。 このことにより, フィルターパック法によるHONO測定が拡散デニューダ法と同程度の精度であることが本研究によって確認された。