大気環境学会誌
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関西地域におけるVOC組成と発生源寄与の季節変動
佐々木 寛介坂本 和彦
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2007 年 42 巻 4 号 p. 219-233

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抄録

関西地域の4地点において, 63成分の揮発性有機化合物 (VOC) の定量を四季 (各季5日間) のサンプルについて実施した。その結果, 同一地点, 同一季節においても, VOCの濃度レベル, 組成は日によって大きく変動しうることが示唆された。また, VOCの組成は季節により変化し, 夏季は炭素数が4~5の脂肪族炭化水素, 冬季は炭素数が3以下の低級炭化水素の割合が相対的に高かった。春季および秋季については, 概ね夏季と冬季の中間的な組成を示した。なお, 測定したVOC濃度の総和 (T_VOC) と常時大気監視局で測定された非メタン炭化水素 (NMHC) 濃度との比 (T VOC/NMHC) は, 四季の平均でおよそ0.5であった。また, 大気中におけるオキシダント生成の観点からVOC各成分の濃度とOHラジカルとの反応速度定数の積を指標とした場合, エチレン, プロピレン, ブテンなどのアルケン類や, トルエン, キシレンが重要であることが示唆された。また, 夏季においては自然起源と考えられるイソプレンについても, 大気中での反応性の観点からは重要な役割を示すものと考えられた。さらに, 本調査で得られたVOCの成分別環境濃度を用いてCMB解析を行なったところ, 四季を通じて, ガソリン蒸気, ガソリン自動車排ガスが主要な発生源として寄与している可能性が示唆された。

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