大気環境学会誌
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降水による都市大気中のNOx除去量の推定
鈴木 攻祐中西 幹郎
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2007 年 42 巻 6 号 p. 311-320

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抄録

地上で観測されたデータだけを用いて, 降水による都市大気中の窒素酸化物 (NOx) の除去量を推定した。昼間におけるNOxの時間変動は, 風による水平移流と, 鉛直方向への拡散に関係すると考えられる気温の変動に主に依存することが, 主成分解析の結果より明らかとなった。2001年10月の関東南部における25km四方の正方領域を対象に, これら二つの効果を考慮し, ボックスモデルを用いてNOxの領域内発生・消散量Rを評価したところ, 無降水日の典型的なパターンを取り出すことができた。この変動パターンと, 降水時のNOx変動との比較により得られた降水1mm当りのウォッシュアウト強度は, 1.0-11.0ppbv/mmであった。得られた強度の評価のため, 同時期に採取された降水に含まれる硝酸イオン (NO3-) と, 大気中NOxの減衰量を比較したところ, 両者が等しくなると仮定して算出されるNOx等質大気層の厚さ (Washout depth) は36.7-238mとなった。

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