2007 年 42 巻 6 号 p. 321-326
大気中二酸化硫黄 (SO2) の海洋への乾性沈着の実態を明らかにするために, 観測結果をもとにSO2の沈着フラックスおよび沈着速度を評価することを目的とした。2006年9月から2007年6月にかけて和歌山県白浜町沖 (白浜) の観測塔及び, 兵庫県南あわじ市西岸にある突堤先端 (淡路島) で計7日間観測を行った。SO2フラックスは濃度勾配法 (乱流フラックス法) を用いて求めた。白浜でのSO2濃度の平均値は2.9ppbで, 淡路島では2.7ppbであった。測定期間におけるSO2濃度の総平均値は2.8ppbであった。白浜でのSO2フラックスの平均値は-6.7×10-8g/m2sで, 淡路島では-2.8×1010-8g/m2sであった。全てのSO2フラックスの値はマイナスであり, 大気から海洋へのSO2乾性沈着が認められた。そして測定期間における海洋へのSO2フラックスの総平均値は-408×10-8g/m2sであった。白浜での沈着速度の平均値は0.64cm/sで, 淡路島では0.43cm/sであった。測定期間における海洋へのSO2の沈着速度の総平均値は0.53cm/sであった。沈着速度と風速との間には正の比例関係が確認出来た。