大気環境学会誌
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都心における大気エアロゾル粒子の湿度特性の季節変化
上田 紗也子三浦 和彦
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2007 年 42 巻 6 号 p. 339-349

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抄録

東京の神楽坂において大気エアロゾル粒子の湿度特性の観測を4季節にわたって行なった。易動度粒径100nmの単分散エアロゾル粒子の湿度に対応した粒径変化を, TDMAを使用して測定した。夏は, 相対湿度65%RH, 70%RHの時に成長した粒子の割合が, それぞれ23%, 28%であったが, 78%RH, 83%RHではそれぞれ50%, 61%であった。夏の典型的な場合では成長粒子割合や成長率の急激な増加が7580%RHで見られ, この湿度は (NH4)2SO4やNaCl, NaNO3の潮解湿度に近い。秋は, 成長粒子割合, 成長率が, ほとんどの場合どの湿度でも他の季節より低かった. 春, 冬の65%RHでの成長粒子割合は, それぞれ41%, 59%であり, 70%RHでも同様に, 夏, 秋に比べて成長粒子割合が高かった。特に, 冬の成長粒子割合と成長率は, どの湿度でも高かった。70%RHの成長粒子割合は, 外気の気温が低い時, または屋外湿度が高いときにより大きく, この結果は, 気体からの二次粒子の生成過程が低い湿度で吸湿成長する粒子の存在に関係していることを示唆している。

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