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大気環境学会誌
Vol. 43 (2008) No. 4 P 245-256

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http://doi.org/10.11298/taiki1995.43.245


本研究では, PMの健康影響を評画するための基礎データを構築するため, 都市大気中PM中で多くの割合を占めると考えられる元素状炭素 (Elemental Carbon;EC) に着目し, 関西2府4県における排出量の推計と大気輸送モデルを周いた濃度分布推定を高い空間解像度の元で行った. 元素状炭素の排出源としては, 自動車 (沿道) からの排出に加え, 船舶からの排出, および燃焼施設 (固定発生源)からの排出量についても推計を行い, 沿道からの排出量については, 幹線道路に加え細街路からの排出を考慮した. 推計は平成11年度について行い, 3次メッシュにおける排出量として整理した. この結果, 関西2府4県における年間EC排出量は6.62×10 3 (t) と見積もられた. 排出構造分析の結果, 沿道からの排出について, 平日より休日の方が単位時間あたりの排出量が大きいことが明らかとなった。また, 総EC排出量において, 沿道起原の排出量が全体の約92%を占める結果となり, 特に普通貨物車からの寄与が大きいことが示された.
次にこの構築されたインベントリを入力として, 気象モデル剛5と大気化学輸送モデル (MAQからなるモデルシステムを用い, 各季節から代表的な期間を選んで関西におけるECの空間分布の推定を行った. 観測データとの比較において, 気象モデルMM5は一定のパフォーマンスを示した. CMAQによる大気輸送計算においては, ほぼ計算領域からの) 排出が支配的と考えられる夏期において, 実灘直と定量的に岡程度の計算結果が得られたが, 詳細な時間変動については追随できない点も存在した. また他の季節のシミュレーションにおいては, 大陸起源の寄与が大きいと予想されるため過小評価となった. 今回推計した排出インベントリのさらなる検証のためには, ネスティングや排出源高度の設定を含めた, 大気輸送計算の条件設定について詳細な検討が必要であることが分かった. 今後は, 多種の化学物質を含んだ総括的なシミュレーションを行い, 健康リスク評価のためのツールとして発展させていくことが望まれる.

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