2012 年 14 巻 p. 255-266
本研究の目的は,看護大学生1・2次生の自我同一性と就業動機の調査から,職業意識の特徴を明らかにすることであった。調査票は,看護大学生1・2次生の177名を対象に,下山の自分の確立尺度と安達の就職動機下位尺度を使用した。分析内容は,学生の特徴を理解するため,標準偏差,および平均値の昇順の上位10項目と下位10項目を検討した。その後,因子分析により全項目の信頼性を確認し,1・2年次生の自我同一性と就業動機を比較するため,t検定で学年間の差異を検討した。その結果,自我同一性は,確立過程であることが示唆された。就業動機は,資格に関する意識傾向が高く,そのために努力しようとは考えているが,専門性の高い仕事は求めていなかった。t検定による学年の比較では,自我同一性は,確実性に高い有意な差が認められ,就業動機では対人志向で有意な差が示されたが,その他は差がなかった。