抄録
要旨:症例は69歳男性.残胃癌に対し胃全摘後であった.発熱,腹痛を主訴に来院.切除不能な膵頭部癌と診断し,膵頭部癌による下部胆管狭窄に対し,胆道ドレナージが必要であったが,胃全摘後のため内視鏡的による経乳頭的ドレナージは困難であると考えられた.経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)を試みたが,肝内胆管の拡張がわずかであったため,経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を行った.その後同経路を用いて胆管メタリックステント挿入し内瘻化に成功した.経乳頭的アプローチ,PTBD挿入困難な場合,胆嚢管のガイドワイヤー通過が可能である,胆嚢管合流部と狭窄部の間に距離があるなど,適応は限られ,なおかつ胆嚢管損傷のリスクもあるため,第一選択ではないが,PTGBDルートからのステント挿入も一つの選択枝になると考えられた.