胆道
Online ISSN : 1883-6879
Print ISSN : 0914-0077
ISSN-L : 0914-0077
症例報告
十二指腸乳頭部癌術後,異時性臍転移(Sister Mary Joseph's nodule)の1切除例
鹿股 宏之脊山 泰治谷澤 徹蕨 雅大浅野 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 30 巻 2 号 p. 298-303

詳細
抄録

悪性腫瘍による臍転移(Sister Mary Joseph's nodule;SMJN)は比較的稀な転移形式であり,中でも胆道癌からの転移は極めて稀である.今回我々は十二指腸乳頭部癌術後の異時性SMJNを経験したので報告する.症例は66歳,女性.64歳の時に十二指腸乳頭部癌で膵頭十二指腸切除術を施行した.術後1年3カ月目に,CTでNo9リンパ節の腫脹を認めた.PET-CTでもFDGの集積がありNo9リンパ節転移と診断した.全身化学療法後に再評価したところ,No9リンパ節転移の他に1cm大の臍部腫瘤が指摘された.好中球減少のため化学療法継続が困難であり,まずNo9リンパ節に放射線照射を行った.放射線治療後にSMJNは2.5cm大に増大し疼痛も出現したため切除の方針とした.術後2年4カ月目,全身麻酔下に臍部の腫瘤を切除した.臍部の疼痛は消失し,臍転移切除後7カ月で癌死するまで臍部痛はなかった.SMJNの予後は不良だが,疼痛を伴うSMJNに対しQOL改善を目的とした切除の適応はあると考えられた.

著者関連情報
© 2016 日本胆道学会
前の記事 次の記事
feedback
Top