胆道
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症例報告
胆嚢癌の膵頭後部孤立性リンパ節転移と術前鑑別が困難であった胆嚢胆管重複癌の1切除例
本多 正幸金 達浩小川 史洋西口 遼平小島 成浩山本 洋太梅本 淳坂本 嗣郎
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キーワード: 重複癌, 胆嚢癌, 胆管癌
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2017 年 31 巻 1 号 p. 119-128

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抄録

症例は83歳の男性で,黄疸を指摘され当院を受診した.腹部CTにて胆嚢体部と膵頭部に遷延性の造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.遠位胆管は膵頭部腫瘍により狭窄し,肝側胆管は拡張していた.ERCPでは膵・胆管合流異常を認めなかった.PET-CTで両者に高い集積像を認めた.以上より膵頭後部孤立性リンパ節転移を伴う胆嚢癌,あるいは胆嚢胆管重複癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術・胆嚢肝床切除・門脈合併切除再建・下大静脈楔状部分切除術を施行した.病理組織学検査では胆嚢病変は中分化型腺癌,膵頭部病変は腺扁平上皮癌であり,両者に連続性を認めないことから同時性重複癌と診断した.膵・胆管合流異常症を認めず,胆嚢癌の膵頭後部孤立性リンパ節転移による胆管浸潤との鑑別に難渋した胆嚢胆管重複癌の稀な1例を経験したので報告する.

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© 2017 日本胆道学会
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