胆道
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日本胆道学会認定指導医養成講座
胆石の自然史
正田 純一
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2017 年 31 巻 2 号 p. 187-195

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抄録

胆石症は胆囊や胆管の胆道系に結石が形成される疾患の総称であり,日常臨床において遭遇する頻度の高い疾患である.胆石症の自然史は,無治療にて追跡調査をしていくと,追跡調査前の1年間に胆道疝痛を経験した有症状患者では,調査前に胆道疝痛を経験しなかった無症状患者に比較して,より高頻度に症状が出現する.しかし,大多数の有症状患者において胆道疝痛は長期間にわたり持続することはなく,穏やかな自然経過をとることが多いとされる.無症状胆石の自然史において,重症合併症の発生頻度は数%である.重症合併症の中で最も頻度の高いものは急性胆囊炎である.無症状胆石の有症状化率は診断されてからの1~3年が最も高く,経過観察期間が長期にわたるほど合併症の発生頻度は低下してくる.観察期間中に胆囊癌の発生を認めた症例はなかったと報告されている.無症状胆石の対応手順は原則的に経過観察することが推奨されている.

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© 2017 日本胆道学会
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