症例は56歳,男性.幼少期よりてんかん性精神病を患っていた.他院で胆嚢結石に対して行われた腹腔鏡下胆嚢摘出術術中に胆道損傷をきたし,開腹下に肝管空腸吻合Roux-en-Y再建術を施行した.その7カ月後より重篤な胆管炎と腸閉塞症状を反復するようになり,軽快しないため当科を紹介された.入院後も食事開始毎に胆管炎,腸閉塞症状を繰り返した.前医MRCPでは肝管空腸吻合部の狭窄が疑われたが,drip infusion cholangiographic-CTでは拡張した後結腸性Roux-en-Y挙上空腸脚とその内腔に造影剤の貯留を認めた.経皮経肝胆道造影においても同様の所見を得,過長となった挙上空腸脚の屈曲に起因した胆汁鬱滞が胆管炎の原因と示唆された.開腹下にてRoux-en-Y挙上空腸脚の走行修復術のみを施行し,術後良好な結果を得た.原因検索には胆管造影のみでなく挙上空腸の造影所見も大切だと考えられた.