胆道
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症例報告
進行胆嚢癌による閉塞性胆嚢炎に起因した胆嚢結腸瘻の1例
浦田 淳資高森 啓史神尾 多喜浩
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2017 年 31 巻 2 号 p. 271-278

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抄録

65歳男性.平成25年11月末より右季肋部痛が出現し近医を受診,腹部超音波検査にて胆嚢に隆起性病変を認め,平成26年1月16日当科に紹介となった.造影CTでは胆嚢体部から底部の壁肥厚部と胆嚢外にかけて広範囲な造影増強域を認め,PET検査でも胆嚢体底部の壁肥厚部,隣接する結腸,肝床部に強い集積像がみられた.また各画像診断でも,結腸との瘻孔形成および胆嚢癌の壁外進展が最も考えられ,審査腹腔鏡を先行した.腹膜播種,腹水および肝転移所見は認めず,開腹下根治術を施行した.病理診断は中分化型腺癌であり,胆嚢頚部は管腔を閉塞する漿膜浸潤癌であった.胆嚢体部から底部にも腫瘍細胞は浸潤し,胆嚢床への浸潤を認めたが結腸への浸潤は認めなかった.本症例は,胆嚢頸部側の癌が閉塞機転となり,うっ滞性胆嚢炎から胆嚢結腸瘻を呈した病態と考えられた.

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© 2017 日本胆道学会
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