2017 年 31 巻 4 号 p. 697-706
先天性胆道拡張症に対する分類としては戸谷分類が世界的に認められているが,これは治療法に結びついた分類ではなく,また,成人膵・胆管合流異常症例の34.0%を占める胆管拡張を伴わない膵・胆管合流異常は含まれていない.一方,先天性胆道拡張症に対する分流手術後に発生した胆道癌107例を集計した結果,術後平均12.0年,2.0%の発生率であり,膵内胆管の遺残や胆管狭窄の不十分な対処が発癌の危険因子であった.それ故,膵内胆管の完全切除と肝管狭窄の除去は術後合併症の予防に必要な操作である.そこで,膵・胆管合流異常症例に対し,総胆管の拡張形態から嚢胞型,紡錘型,不完全型,非拡張型に分け,これに肝管狭窄の有無を加え,拡張形態と治療法とを関連づけた膵・胆管合流異常に対する新しい型分類を作成した.