胆道
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症例報告
肉腫様変化を伴った胆嚢腺扁平上皮癌の1例
鈴木 修司梶山 英樹丸山 常彦下田 貢松本 暢彦森下 由起雄
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2017 年 31 巻 4 号 p. 723-730

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抄録

症例は,58歳女性.体重減少を主訴に当院消化器内科受診し,CT検査にて胆石症,胆嚢壁肥厚指摘され,経過観察となった.1年1カ月後定期受診にてCT検査,US検査にて胆嚢腫瘍を疑う不整な壁肥厚・十二指腸圧排の所見を認め,当科紹介となった.精査にて胆嚢癌・十二指腸浸潤の診断にて,肝S4下S5切除+亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理診断にて扁平上皮成分と腺癌成分が混在しながら浸潤を来し,両成分の移行も見られた.また腺癌成分から移行する形で紡錘形細胞を主体とする肉腫様変化を伴った腺扁平上皮癌,T3a,N1,M1(PER)Stage IVBであった.胆嚢腺扁平上皮癌は比較的稀で,予後が悪いことが知られている.本症例は肉眼的には認めなかったが,膵頭後面リンパ節周囲にわずかに腹膜播種を認め,術中腹腔洗浄細胞診陽性であり,十二指腸浸潤を認めていた.若干の文献的考察を含め,肉腫様変化を伴った胆嚢腺扁平上皮癌の一例につき報告する.

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© 2017 日本胆道学会
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