2020 年 2020 巻 22 号 p. 98-103
核酸医薬品は、「天然型核酸あるいは修飾型核酸が直鎖状に結合したオリゴ核酸を薬効本体とし、タンパク発現を介さず直接生体に作用する、化学合成される医薬品」である。構造、標的、作用部位、作用機序などが異なる様々な種類のものが開発されており、1998年に世界初の核酸医薬品が承認されて以降、2020年4月現在までに11品目(表1)が上市された。そのうち8品目の上市は2016年以降に集中しており、今後も核酸医薬品の上市が続くものと考えられる。
安全性評価研究会の第22回春のセミナー(2019年)では、核酸医薬品の安全性評価についてのプログラムが組まれた。まず、概論として「核酸医薬品の非臨床安全性評価に関する話題」を木下 潔氏(日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会、MSD株式会社)に、開示情報とCROでの経験をもとに「核酸医薬品の毒性試験」を松下聡紀氏(編集企画委員、株式会社新日本科学)に、ヒトへの外挿性の確認手法の紹介として「核酸医薬開発とヒト肝細胞キメラマウス-これまでの実績・現在の取り組み・今後の課題-」を加国雅和氏(株式会社フェニックスバイオ)に講演いただき、次いでQ&A形式での意見交換を行った。
本稿では、当該春のセミナーにて意見交換した内容をもとに、2020年に発出された「核酸医薬品の非臨床安全性評価に関するガイドライン」(令和2年3月30日、薬生薬審発0330第1号、以下ガイドライン)1)を踏まえて追記し、まとめた。