日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
総説 甘い味のする香気成分の発見とその作用機序
日下部 裕子
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2025 年 32 巻 1 号 p. 37-42

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抄録
甘味物質は一般に水溶性と考えられているが、香気成分の中にも甘味を呈するものが存在する。本研究では、新たに甘味を持つ香気成分としてトランス-2-ヘキセナールを特定し、さらに、疎水性低分子化合物が甘味受容体TAS1R2/TAS1R3 に結合する様式を解析した。その結果、甘味を呈する疎水性低分子化合物は水溶性甘味物質とは異なる部位に結合し、独自の甘味受容機構を持つことが明らかになった。本研究の成果は、新たな甘味物質の開発に貢献するだけでなく、甘味受容の進化的背景や生理的役割の理解を深める手がかりにもなると考えられる。
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© 2025 日本味と匂学会
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