日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
高齢者における鼻の機能・嗅覚の役割
大山 勝古田 茂
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1997 年 4 巻 2 号 p. 125-136

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抄録

高齢者では、呼吸器疾患の罹患が増える。その成因の一つに、鼻副鼻腔炎や声門閉鎖機能不全があげられる。副鼻腔気管支症候群は代表的な病態であり、しばしば嗅覚障害を合併する。嗅覚機能は加齢により、特に60才代から顕著に低下し、経鼻的化学刺激による声門閉鎖運動も減弱する事がわかった。また、嚥下反射や咳嗽反射も高齢者肺炎群では有意に減弱していることが知られている。老人性痴呆とくにアルツハイマー病では、嗅素に対する認知閾値が著明に上昇するので、気道の生体防御能へも大いに影響を与える。これらの問題を中心に、高齢者の医療、保健、福祉の今日的課題について概説した。

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© 1997 日本味と匂学会
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