我々は網膜細胞や肝実質細胞においてタウリンの輸送を担う分子実体解明を目的に研究を推進してきた。これまでに、タウリンの消化管吸収や腎再吸収過程にはsolute carrier family (SLC) 6A に属するtaurine transporter (TauT/SLC6A6) が少なくとも一部関与することが報告されている。循環血液と網膜とを隔てる血液網膜関門(BRB)、そして網膜グリアで あるMüller 細胞におけるタウリン輸送には、小腸や腎臓と同様にTauT の関与が示唆された。一方、肝臓におけるタウリン輸送にはTauT ではなく、γ-amino butyric acid transporter 2 (GAT2/SLC6A13) が関与することが示唆された。TauT とGAT2 とではタウリンに対する親和性が異なることから、タウリンの生体内における有益作用を効果的に発揮させるための摂取法を確立する上で、本知見の応用が期待される。