2021 年 10 巻 4 号 p. 153-164
体外フォトフェレーシス(ECP)は,ステロイド抵抗性または不耐容の慢性移植片対宿主病(GVHD)の治療法として2020年12月に日本で承認された。ECPの作用機序のすべては解明されていないが,リンパ球のアポトーシス誘導,抗原提示細胞集団およびサイトカイン産生の変化,制御性T細胞の誘導,骨髄由来免疫抑制細胞の増加,B細胞シグナルおよびB細胞集団の変化などの免疫調整作用を介し,慢性GVHDの病態を改善すると考えられている。これまでに欧米を中心に,慢性GVHD患者を対象としたECPの多くの臨床試験成績が報告されており,ECPは多くの臓器で奏効を示すが特に皮膚,口腔粘膜,肝臓での奏効割合が高いこと,ステロイド投与量の減量や全生存期間の延長が達成できること,ECP治療の忍容性が示されている。日本の実臨床においてECP治療の有効性と安全性に関する情報を蓄積していくことが今後の課題である。