日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
研究報告
同種移植後患者の就労に関する実態調査―慢性GVHD等の自覚症状による仕事・生活への影響に関する検討―
松浦 朋子黒澤 彩子山口 拓洋森 文子森 毅彦田中 正嗣近藤 忠一坂本 周子藤井 伸治一戸 辰夫奈良 美保前田 智也藤澤 信名和 由一郎中邑 幸伸南口 仁志大西 康高野 久仁子高橋 都福田 隆浩
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2021 年 10 巻 4 号 p. 172-182

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抄録

 移植後サバイバーにおける慢性GVHD等の自覚症状の有病率と,それらによる仕事,生活への影響度を探索した。対象は同種移植後2年無病生存,調査時年齢65歳未満かつ原病診断時に就労状態の成人患者とし,多施設無記名アンケート調査を実施した。回収率は60%,調査時就労状態にある841人を解析対象とした。92%が34項目いずれかの症状があると回答し,有症状割合が高い臓器は皮膚(78%),関節筋肉(72%),眼(61%),精神(44%)であった。ロジスティック回帰ではサバイバーの業務内容により影響を及ぼす症状が異なり,販売/介護等では皮膚や眼,関節症状,営業職等ではアピアランスや気分の落ち込み,屋外肉体労働では眼のまぶしさの影響が大きいことが示された。移植後は症状の種類や程度のほか,サバイバーそれぞれの就労や生活状況を加味して患者指導にあたることで,よりニーズにあった介入につながる可能性が示唆された。

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© 2021 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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