2023 年 12 巻 1 号 p. 29-34
CAR-T細胞療法は,他の抗がん剤治療などと根本的に異なる要因が多岐にわたるため,実施する医療機関側に様々な試練をもたらしている。京都大学病院では,このような試練を逆手にとって,数々の取り組みを行ってきた。まず,細胞療法センター(C-RACT)を設立し,院内の細胞療法に関する情報収集や日程マネージメントを集約し,チーム医療の中心を担っている。また,CAR-T細胞療法予定患者の進捗状況や院内の様々なスケジュールをリアルタイムに把握できるようにアプリケーションを開発し,「細胞療法のデジタルトランスフォーメーション(Dx)」を目指している。またアフェレーシス効率や製造失敗リスクの予測,さらには輸注後の合併症や治療効果に関しても臨床疫学研究を進め,CAR-Tをはじめとした「細胞療法の運用最適化」を目指す試みを行っている。