天気
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論文
日本の低温死亡率の地域性と変動および気温との関係
藤部 文昭松本 淳鈴木 秀人
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2019 年 66 巻 8 号 p. 513-527

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抄録

 1999~2016年の人口動態統計の個票データを使って,低温死亡率の空間・時間変動と気温との関係を統計的に調べた.空間分布においては,気温の低い都道府県ほど低温死亡率の高い傾向があり,冬季(12~3月)の平均気温1℃当たりの死亡率の変化は約12%である.年々変動においては,冬季(12~3月)の平均気温が1℃低い年は死亡率が20%程度高い.季節変化においては,12~3月の死亡数が年間の78%を占める.また日々変動においては,日平均気温1℃当たり死亡率は15%程度変動する.以上の事実は低温死亡率が気温の地域的・時間的な変動に影響されることを示しているが,熱中症に比べると気温変動に対する低温死亡率の変化率は小さい.また,冬の前半に比べて後半は低温死亡率が低いなど,低温馴化を示唆する事実がある一方で,低温馴化に否定的な事実もあり,馴化の影響は熱中症の場合ほどには明瞭でない.

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© 2019 公益社団法人日本気象学会
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