天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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p-ベンザインビラジカルのモノクロロ化反応:シアノスポラサイド及びフィジオライドアグリコンの全合成
山田 慧高橋 諒佐藤 格山下 修治平間 正博
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p. Oral28-

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抄録

シアノスポラサイド(1,2)およびフィジオライド(3,4)は、Fenicalらにより海産放線菌の代謝産物として単離、構造決定された1,2。シアノスポラサイド1および2は、主骨格であるシクロペンタ[a]インデン骨格上の塩素置換部位だけが異なる位置異性体である。フィジオライドも塩素化されたシクロペンタ[a]インデン骨格を含み、いずれも3級アルコールのグリコシドである(Figure 1)。これらの海洋天然物の前駆体は、(5)型の9員環エンジインと推定される。5は、Masamune-Bergman環化してp-ベンザインビラジカル(6)を生じ、これがモノクロロ化されてシアノスポラサイドおよびフィジオライドが生成すると考えられる(Figure 2)。前駆体(5)の関与は、1及び2を生合成する遺伝子が、他の9員環エンジイン天然物の生合成遺伝子と高い相同性を示すことからも支持される3。また、これまでに単離されたシクロペンタ[a]インデン型天然物(1~4)は、いずれもモノクロロ体である。p-ベンザインビラジカル(6)を経て生成すると推定されているのに、ジクロロ体が単離されていないのはなぜか。モノクロロ化反応機構も興味深い問題である。

我々は、1及び2のアグリコン前駆体に相当する9員環エンジインを芳香環化させ、非対称p-ベンザインビラジカルの位置選択的なモノクロロ化反応を実現した。さらに、シアノスポラサイド及びフィジオライドアグリコン保護体の合成に成功したので報告する。

Figure 1. Cyanosporaside and Fijiolide.

Figure 2. Proposed Pathway to chlorocyclopenta[a]indene core.

【シアノスポラサイドの合成】

5員環部9とアセチレン部10を、LHMDSを用いて立体選択的に連結し、11を得た(Scheme1)。11からアルデヒド13へと変換後、LHMDS/CeCl3を用いて9員環化し、14とした。その後4工程の官能基変換を経て、ビスメシレート15を合成した。15をヨウ化サマリウムで処理したところ、ビニロガスな還元的脱離反応が進行し、シアノスポラサイドに特有のジエン構造16を構築できた。鍵工程である、16からのエンジイン化を試みた。THF-d8溶媒中、DBUを塩基として用いて800MHz 1H-NMRにより反応を追跡したところ、極めて不安定な9員環エンジイン17の生成が観測された。しかし、17は測定中に速やかに芳香環化して18を与える事が分かった。

Scheme 1. Synthesis of 16 and Unstable Enediyne (17).

エンジイン(17)の単離が困難であったので、16から直接モノクロロ化を試みた。16に対して、CCl4中でt-BuOKを作用させると、ジクロリド20のみを与えた(Scheme 2)。一方、Et2O/CCl4=1/1溶媒中では望むモノクロロ化反応が進行した。意外にも、得られたモノクロロ化体は、3位が塩素化されたシアノスポラサイドA型の21のみであった。さらに、LiCl共存化、DMSO溶媒中5、t-BuOKを作用させたところ、6位が位置選択的に塩素化された22が生成した。22はシアノスポラサイドBの置換様式を有する。以上のように、反応条件を変えることにより、モノクロロ化体21及び22を作り分けることに成功した。また、得られた21および22からシアノスポラサイドAおよびBアグリコン保護体の合成を達

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© 2013 天然有機化合物討論会電子化委員会
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