天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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(-)-Sphingofungin E の全合成
池内 和忠林 萌未山本 倫広稲井 誠浅川 倫宏濱島 義隆菅 敏幸
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p. Oral40-

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抄録

[目的] Sphingofungin E (1) は 1992 年、Merck 社のグループにより真菌 Paecilomyces variotii から単離・構造決定された α-二置換-α-アミノ酸である1) (Figure 1)。1 は強い免疫抑制活性を有し、cyclosporine とは作用機序が異なるため、新規免疫抑制剤のリード化合物として期待されている。当研究室では 1 の類縁体である 5 位に水酸基を有さない (-)-myriocin (2) の全合成をすでに報告している2)。そこで我々は本合成法をさらに応用すべく、2 の 5 位にさらに酸素官能基化された 1 の合成研究に着手した。

[逆合成解析] 当研究室では安息香酸から合成可能な環状ジエンカルボン酸 3 に対する不斉ブロモラクトン化反応を報告している3)。本反応は通常構築困難な第四級不斉炭素を含む三連続不斉中心を一挙に構築することができる。また得られるラクトン 4 から変換可能なヒドロキシカルボン酸誘導体 5 は転位反応と酸化反応を利用することで α-二置換-α-アミノ酸骨格の構築に展開可能である (Scheme 1)。

Scheme 1. Asymmetric bromolactonization of carboxylic acid 3.

 そこで, 本反応を鍵反応に用いた以下のような 1 の逆合成解析を考案した (Scheme 2)。脂肪鎖の導入と α-二置換-α-アミノ酸の構築は合成の終盤にて行うこととし、ジアルデヒド 7 を前駆体として設定した。7 の二つのホルミル基は立体障害により反応性が異なることを期待し、左側ホルミル基に対する位置選択的炭素鎖伸長反応により脂肪鎖を導入できると考えた。また、a-二置換-a-アミノ酸骨格の構築はアミド基に対する Hofmann 転位反応と一級水酸基の酸化により構築することとした。 7 は望みの四連続不斉中心を有するシクロヘキセン 8 の酸化的開裂により調製可能と考え、8 はエポキシド 9 の 3 位に対する位置選択的開環反応により誘導することとした。9 は b-ラクトン 4 から変換可能なエポキシド 10 に対するアリル位 C-H 酸化反応により 5 位に立体選択的に水酸基を導入することで合成できると考えた。

Scheme 2. Retrosynthetic analysis of 1.

[四連続不斉中心の立体選択的構築法の確立] TIPS カルボン酸 12 の不斉ブロモラクトン化反応は触媒量を 3 mol % に低減しても問題なく反応が進行し、b-ラクトン 13 を高収率・高エナンチオ選択的に得ることができた。3 段階を経て誘導したエポキシド 14 に対し、種々アリル位 C-H 酸化反応を試みたところ Shing らによって報告された Mn(OAc)3/TBHP を用いる条件が最も良い結果を与えた4)。また生成するエノンを NaBH4/(MeO)3B の条件に付すことで位置・立体選択的還元反応が進行し、アリルアルコール 15 を高ジアステレオ選択的に得ることに成功した。続いて 1 に対応する四連続不斉中心の構築を行った。まず 5 位の立体化学を反転するために安息香酸 (11) との光延反応を行い、16 とした。続いて BF3・OEt2 を作用させたところ、Boc 基からの分子内6-exo 環化反応が進行した目的物は得られず、ジオール 17 を主生成物として得た。Bz 基の隣接基関与の影響が考えられたため、光延反応における求核剤を変更することとした。検討の結果、p-ニトロフェノールとの光延

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© 2013 天然有機化合物討論会電子化委員会
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