天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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不斉アジリジン化反応を利用したリグナン類の合成研究
高橋 正人鈴木 紀行石川 勉陳 益昇
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p. Oral43-

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抄録

【背景・目的】

 アジリジンはその高い

ひずみの為に反応性に

富んだ、有機合成上有用な

化合物である。我々は

グアニジニウム塩と芳香族アルデヒドから不斉合成

にも展開できる3-アリールアジリジン-2-カルボキシ

レートの立体選択的な合成法を開発1)し、得られるアジリジンに対し各種条件による開環反応を報告 2)している。今回、これらの反応を天然物合成へ応用

すべく、リグナン類である (-)-ポドフィロトキシン (1) の効率的な不斉合成

及びネオリグナン類である新規2量化フェニルプロパノイド類 2の絶対配置を含む構造決定を目的とした不斉全合成研究を開始した (Figure 1)。

【(-)-ポドフィロトキシン (1) の合成研究】

合成計画

 我々が開発したアジリジン化反応により得られる 3-アリールアジリジン-2-

カルボキシレート 3 は C3 位において求核攻撃を受けやすいことを経験的に

認めている。そこで、合成するアジリジン基質の C3 位に 3,4-メチレンジオキシフェニル基または3,4,5-トリメトキシフェニル基 (Ar1) を導入しておくことで、

(-)-ポドフィロトキシン (1) の1つの芳香環ユニットとして利用し、さらにこのものに対し一方の芳香環 (Ar2) による立体特異的環開裂反応を行うことによって、1 に

おけるジアリール部位が構築可能となる。開環体 4 にC環構築のためのC2

ユニットを導入した後、ビニル体 5 に対し更なる官能基変換を行うことで、

(-)-ポドフィロトキシン (1) へと変換しようと考えた (Scheme 1)。

アジリジン開環反応の検討

 市販のアルデヒド 6 と別途合成したグアニジニウム塩 7 を反応させトランス-アジリジン3a, 3bを得た後、メチレンジオキシ体 3a に対し、様々な芳香族求核剤 8 を用いて開環反応を行った (Table 1)。電子密度が高い芳香族化合物では

中程度の収率で開環体が得られるものの (entry1-5)、フェノールやアニリン誘導体では、その官能基自身が反応した(entry 6, 7)。一方、トリメトキシ体 3b に対し、

ポドフィロトキシンの部分構造であるメチレンジオキシベンゼンを用いたところ、反応は複雑化した (entry 8) が、セサモール及びその保護体では目的の位置で反応を起こすことを認めた (entry 9, 10)。また、本反応は、Lewis酸としてInCl3 を用いたが、Zn(OTf)2 に変えることでジアステレオ選択比が向上した (entry 10)。

ビニル体 5 の合成

 セサモール (8j) 由来の開環体4j を用いてポドフィロトキシンの合成を進めた。CN結合開裂 3) によるアミノ基の除去、Tf化を行った後、Stille反応によりビニル体 5 に導いた。このものの光学純度は再結晶により99% eeまで高められた (Scheme 2)

(View PDFfor the rest of the abstract.)

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© 2013 天然有機化合物討論会電子化委員会
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