天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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カプラザマイシン類の合成研究:(+)-カプラゾールの触媒的不斉全合成
渡辺 匠Purushothaman GopinathWang Lu阿部 光Gandamala Ravi舛田 岳史柴崎 正勝
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p. Oral28-

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抄録

1. 背景と目的

図1 caprazamycin B,caprazol,およびCPZEN-45の構造

caprazamycin B(1)1は放線菌由来のリポヌクレオシド系抗生物質であり,類似構造を持つliposidomycin2と同様MraYを阻害し3,抗結核活性を示す.また生産菌の微量産物として,側鎖部位を欠くcaprazol(2)も知られている.その後,発酵生産されたcaprazamycinを原料とした半合成的構造活性相関(SAR)研究が行われ,ミコリルアラビノガラクタン合成関連酵素WecAを阻害し3,現在臨床使用される多くの抗結核薬に耐性を示す超多剤耐性結核菌(XDR-TB)にも有効な,CPZEN-45(3)が得られた4.これらの背景を基に演者らは,半合成法では入手困難なcaprazamycin類縁体のSAR研究を基軸とするWecA阻害剤の探索と新規抗XDR-TB薬リードの創製を企図した.本研究はその基盤技術となるcaprazamycinおよびcaprazolの触媒的不斉合成法の確立を目的とする.これまで関連天然物の中では唯一caprazolのみ,松田・市川らによる全合成が報告されている5.今回の合成では主に当研究室で開発された触媒的不斉反応を鍵工程とした.

2. 合成計画

図2 本合成において注目した立体構造

図2に本合成研究の鍵工程で制御される4箇所の立体化学を示した.すなわち(a)と(b)のβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸部位,(c)のβ-ヒドロキシエステル部位,および(d)の非対称ジエステル部位である.

(a)には柴﨑・熊谷の開発した触媒的不斉anti-選択的ニトロアルドール反応6を利用し,エナンチオおよびジアステレオ選択的構築を試みる.また(b)にはキラルなアルデヒドを基質としたアルドール系反応におけるジアステレオ選択性発現を期待する.(c)に関しては,柴崎・熊谷の開発した光学活性銅錯体による触媒的不斉チオアミドアルドール反応7を,(d)については,3-メチルグルタル酸無水物の触媒的不斉アルコリシス8をそれぞれ適用する.

3. anti-β-ヒドロキシ-α-アミノ酸部位の立体制御

図3 anti-選択的触媒的不斉ニトロアルドール反応と構造変換

caprazamycin類に特徴的なジアゼパノン環に内在するanti-β-ヒドロキシ-α-アミノ酸構造の立体選択的構築においては,ケイ皮アルデヒド4とO-ベンジルニトロエタノール5を基質としたNd/Na-アミド配位子(6)錯体によるanti-選択的触媒的不斉ニトロアルドール反応を鍵工程とした(図3).反応温度を–60 oCとした際,9 mol %の触媒が必要となったが,収率75%,95% eeのエナンチオ選択性,および12:1のanti-選択性にてニトロアルドール成績体7が得られた.なお,–40 oCではいずれの選択性も大きく損なわれ,また3もしくは6 mol %の触媒量では反応速度が著しく低下する.得られた7は,数工程で容易に2級アミン中間体11へと変換可能であった.

4. ウリジン部位-ジアゼパノン環接合部の立体制御

ウリジン部位とジアゼパノン環の接合部形成にはイソシアノ酢酸エステル12およびアルデヒド13によるジアステレオ選択的アルドール反応を適用した(図4). 当量の3級アミン作用させるとtrans-

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© 2014 天然有機化合物討論会電子化委員会
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