天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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ent-ピリピロペンAおよび構造簡略化ピリピロペン類縁体の合成と殺虫活性評価
松村 圭介布施 新一郎池邊 彩子大角 和也柄澤 智哉田中 浩士廣瀬 友靖砂塚 敏明大村 智高橋 孝志
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p. Oral10-

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抄録

<概要>

 ピリピロペンAは1993年に本演題共同発表者の大村らによりAspergillus fumigatusから単離、構造決定され1、8つの不斉点を有する5環性の骨格をもつ。また近年、アブラムシに対する強力な殺虫活性をもつことが報告された2。ピリピロペンAは大村、Smithらにより初の全合成が報告され3、さらにその後、大村、長光らによる全合成も報告された4。我々は天然に存在しないent-ピリピロペンA(Figure 1)の殺虫活性に興味をもち、独自の合成法による全合成を達成するとともに、殺虫活性を評価した。さらに、ピリピロペンAはその合成に多段階を要することから、より短工程で合成できるピリピロペンAを模した新規テンプレートを開発し、その殺虫活性も評価したので報告する。

<ent-ピリピロペンAの全合成>

我々は、収束的な合成戦略に基づく全合成を目指した(Scheme 1)。ent-ピリピロペンAの骨格を、AB環Iに対するDE環IIの求核付加反応、続く分子内環化反応により構築しようと考えた。また、Iはtrans-デカリンIIIの7位への水酸基の導入と、13位水酸基の酸化、アルケンの異性化により構築できると考えた。IIIは、我々が独自に開発した三価チタン触媒を用いるエポキシジエンIVの連続的ラジカル環化反応により構築しようと計画した。なお、光学活性なIVはファルネシルアセタートから誘導することとした。

 光学活性なエポキシジエンIVをファルネシルアセタートから4段階を経て合成した(Scheme 2、上段)。すなわち、ファルネシルアセタートに二酸化セレンを作用させ、その後、水素化ホウ素ナトリウムを作用させることでアリルアルコール1を収率29%でE/Z異性体混合物(E:Z = 9:1)として得た。これらの異性体は分離が困難であったため、混合物として香月―Sharpless不斉エポキシ化反応に用いたところ、高エナンチオ選択的かつ高収率にてエポキシド2が得られた。ここでシリカゲルカラム精製を試みたところ、主生成物であるE体由来のエポキシド2を単離できた。得られたアルコール2をTBS基で保護した基質3を用いて鍵段階の連続的ラジカル環化反応を検討した[SF1] (Scheme 2、下段)。まず、化学量論量のチタン試薬を用いて環化反応を行ったところ目的の環化体4が収率60%で得られた。続いて、我々の過去の研究をもとに触媒的ラジカル環化反応の条件を検討した結果、最終的にScheme 2に示した、0.2当量のチタン試薬と共に添加剤としてマンガン、炭酸カリウム、TMSCl、Et3Bを加えた条件5において目的の環化体4を収率60%で得ることに成功した。なお、本反応の機構は次の通りに考えている(Scheme 3)。まず、Cp2TiIVCl2が還元されて活性種のCp2TiIIIClが生じ、3のエポキシ環の開裂による5の生成と続くラジカル環化により中間体6を与える。その後、Cp2TiIIIClと中間体6との不均化によるアルケン7の生成、TMSClによるTi-O結合の開裂を経て目的物4が得られる。なお、生じた二種類の4価チタン種(Cp2TiIVCl2, Cp2TiIVClH)の内、Cp2TiIVCl2はマンガンにより、Cp2TiIVClH はEt

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