天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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海洋シアノバクテリア由来の心筋分化誘導活性物質
福島 弘之前島 寛魚崎 英毅松尾 武彦吉田 将人恩田 勇一鈴木 淳藤野 雄太増田 裕一八田 和久夏目 徹神平 梨絵坂本 匠新井 大祐堀越 直樹
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p. Oral16-

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抄録

 心筋梗塞などの心疾患に対する治療法として,ES 細胞やiPS 細胞を用いる再生治療に注目が集まっている。心筋の再生治療法には,①人工的に分化誘導した心筋細胞を直接移植する細胞移植治療法と,②生体内に存在する前駆細胞に直接働きかけて心筋へと分化誘導する治療法のふたつのアプローチが検討可能である。①については細胞の誘導法,純化法,移植法など多くの研究成果が報告されている一方で,②のような治療についての研究例はほとんどない。これらいずれの治療法についても,その実現のためには,強い心筋分化誘導活性を有する薬剤の開発が望まれる。また,異種混入を防ぐ観点からは,分化誘導に用いるOP9などのフィーダー細胞がなくても分化誘導活性を発揮する薬剤の開発がより強く望まれる。

 そこで,既存の薬剤とは作用プロファイルの異なる,新たな心筋分化誘導活性剤の開発を目的として,海洋生物由来の心筋分化誘導活性物質の探索を行った。その結果,鹿児島県加計呂麻島産の海洋シアノバクテリアMoorea bouilloniiから,非常に強力な心筋分化誘導活性を有する活性本体としてアプラトキシンC(ApxC;1)を見出した。本化合物1は心筋分化誘導活性が知られるサイクロスポリンA(CsA)やIWP4,XAV939,IWR1などのWnt阻害剤と比較して,約1000分の1の濃度において強い分化誘導活性を示すとともに,フィーダー細胞が存在しない条件下でも強い分化誘導活性を示した。

 本研究では,合成Apx類縁体ライブラリーを用いて構造-活性相関解析を行うとともに,作用メカニズムの解析を行った。また,ラット亜急性期心筋梗塞モデルへの治療効果の検討について行ったので,これらの経緯について報告する。

1.スクリーニング

 独自に開発したマウスES/iPS細胞を用いたin vitro心筋分化誘導法1を用いたアッセイによって(図2),海洋生物エキスサンプル800検体を対象に,心筋分化誘導活性スクリーニングを行った。すなわち,心筋特異的遺伝子であるαMHCのプロモーター制御下でGFPを発現するES細胞株(EMG7)を用いて,心血管系前駆細胞であるFlk-1陽性中胚葉細胞に導き,セルソーターによって純化したFlk-1陽性中胚葉細胞に対して,エキスサンプル存在下で6日間フィーダー細胞(OP9細胞)との共培養を行うと,GFPを発現した心筋細胞が分化誘導されてくる。ES細胞由来心筋細胞のGFPの蛍光強度,および心筋特異的収縮タンパク質であるcTnT陽性細胞の占有領域を測定することにより,各サンプルの心筋分化誘導活性を測定した。この結果,鹿児島県加計呂麻島産のシアノバクテリアから調製したエキス成分の脂溶性画分に強い心筋分化促進活性を見出した。

図2 心筋分化誘導活性試験

2.単離,同定

 活性が認められたシアノバクテリアサンプル(128 g,湿重量)をメタノールで抽出し,合一した抽出液を濃縮後,水とクロロホルムで

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© 2016 天然有機化合物討論会電子化委員会
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