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【概要】
海洋シアノバクテリアは多様な二次代謝産物を生産している。これらの化合物には特異な生物活性を示すものが多く含まれる。また、近年のゲノム解析の結果からシアノバクテリアは他の生物が持たない特異な修飾酵素を有することが示唆されている1。以上の背景より、私たちの研究室では海洋シアノバクテリアより特異な構造を持つ新規生物活性物質の探索を行ってきた。今回、私たちは南西諸島で採集した海洋シアノバクテリアより新規リポペプチドkanamienamide (1) とminnamide類 (2-5) を発見した。これらの化合物の単離、構造決定、生物活性について報告する。
1. Kanamienamideの単離、構造、生物活性
1-1. Kanamienamideの単離・構造決定
鹿児島県徳之島の沿岸にて海洋シアノバクテリアMoorea bouillonii 1000 g (湿重量) を採集した (Figure 1)。このものをメタノール抽出し、得られた抽出物を酢酸エチル/水で分配した後、有機層をヘキサン/90%メタノールにて分配した。90%メタノール画分に対し、HeLa細胞への増殖阻害活性を指標として各種クロマトグラフィーにて分離・精製を行い、kanamienamide (1, 11.0 mg) を単離した。
平面構造は各種スペクトル解析を通じて明らかとなった(Figure 2)。また、Kanamienamide (1) の11員環部分の相対立体配置はプロトン間の結合定数およびNOESYスペクトルの解析により決定した(Figure 3)。
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Kanamienamide (1)を酸加水分解して得たN-Me-LeuをキラルカラムHPLCにより分析したところL体であった (Scheme 1)。以上の結果、kanamienamideの絶対立体配置を決定した。
結果として、KanamienamideはN-Me-Leuを含む11員環のリポペプチドであり、天然には珍しいエノールエーテル構造とエナミド骨格を有していた。
1-2. Kanamienamide (1) の生物活性
Kanamienamide (1) の細胞増殖阻害活性の評価をMTTアッセイにより行った。その結果、1 はHeLa細胞に対して増殖阻害活性を示すことが明らかとなった (IC50 : 2.5 μM)。また、kanamienamide (1) の添加によって引き起こされる細胞死が形態的にアポトーシスと類似していたため (Figu
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