天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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Humulene の構造を基盤としたテルペノイドアルカロイド様化合物群の創出
菊地 晴久西村 壮央權 垠相川井 絢矢大島 吉輝
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p. Oral22-

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抄録

 天然物化学は,新規の化学構造や有用な生物活性を有する化合物を提供してきた.特に,創薬研究においては天然化合物をリード化合物として開発された医薬品が数多く存在する.天然化合物が医薬品の探索源として有用である理由の一つとして,これらが有する多様な化学構造が挙げられる.しかし,天然資源の探索が活発に行われてきた結果,近年では新規性の高い骨格を有する化合物を取得することは困難になってきている.そのため,高度な構造多様性を有する化合物を得るための新たな方法論が求められる.

 有機反応を用いて,多様な構造を有する化合物群を構築する手法の1つとして,2000年にSchreiberにより提唱された多様性指向型合成が存在する.1 多様性指向型合成は,共通の基本骨格から枝分かれした合成により分子骨格を変換することで,多様性にあふれた化合物群を構築する手法である.

 テルペノイドアルカロイドは,sp3性に富んだテルペノイドの特徴と窒素原子を含むアルカロイドの特徴を併せ持ち,有用な生物活性を有する化合物が多く存在する.例えば,インドジャボク属やニチニチソウなどに含まれるテルペンインドールアルカロイドのajmalicineや,トリカブトに含まれるaconitineなどが知られている.これらのテルペノイド部分はsecologaninやent-kaureneなどの限られた前駆体から生合成されている (Figure 1a).多様性指向型合成により,非天然型のテルペノイド骨格を有するテルペノイドアルカロイド様化合物群を構築できれば,創薬研究において有用な化合物ライブラリーとなることが期待できる (Figure 1b).

 本研究では多様性指向型合成の考えに基づき, humulene (1) の骨格を基盤としてテルペノイドアルカロイド様化合物群の構築を行う.Humuleneは,ホップ (Humulus luplus) やテンダイウヤク (Lindera aggregate) に多く含まれているセスキテルペノイドである.Humuleneは3つの二重結合を含む11員環構造を有しており,分子内環化反応などにより多様な環構造の構築が可能であると期待される.

 化合物ライブラリーの構築は次のような戦略に基づいて行った.まず,humuleneの反応性が高められたhumulene diepoxide (2) に対し,ルイス酸存在下でベンゼン環上の置換基としてビニル基もしくはアリル基を有するアニリンを作用させる.これにより,アニリンの求核攻撃とエポキシドの開裂に伴う分子内環化反応により3のような二環式化合物が得られる.さらに,化合物ライブラリーの多様性をさらに高めるため,humulene骨格に残る二重結合と導入したアニリンが持つ二重結合を利用し,メタセシス反応による環骨格の組み換えを行い,多様な環構造を有する化合物群を構築する.二環式化合物3に対する開環メタセシス反

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© 2016 天然有機化合物討論会電子化委員会
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