天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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シンビオジノライドC79-C104フラグメントの立体発散的合成と立体構造改訂
髙村 浩由藤原 敬之川久保 陽平門田 功上村 大輔
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p. Oral4-

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抄録

【序論】

 シンビオジノライド(1, Figure 1)は渦鞭毛藻Symbiodinium sp.から単離された海洋産ポリオール天然物である1。本化合物は7 nMで電位依存性カルシウムチャネルに対する開口活性を有し、また2 μMでCOX-1阻害活性(65%の阻害)を示すことが明らかとなっている。1の平面構造は詳細な二次元NMR解析により決定されたが、分子量2,860と61個の不斉中心に特徴付けられた巨大かつ複雑な分子構造を有するため、その立体構造は未決定である。我々のグループでは以前より、1の構造解明に向けて合成化学的なアプローチを行っており、Figure 1の四角で囲んだ各部位の合成と構造決定を完了している。本討論会ではC79–C104フラグメントの立体発散的合成と立体構造改訂について報告する2

【C79–C104フラグメント4aの立体選択的合成】

 まずは提唱立体構造を有するC79–C104フラグメント4aの合成を検討した。すなわち、PT-スルホン2とアルデヒド3をJulia–Kocienskiオレフィン化により連結し、対応する(E)-アルケンを合成した(Scheme 1)。その後、Sharpless不斉ジヒドロキシル化を行うことで93,94-連続酸素官能基部位を導入し、目的とする4aを立体選択的に合成した。合成した4aと天然物1の対応する部位との13C NMRデータを比較したところ、ケミカルシフトに大きな差が確認できたため、C91–C99鎖状部位の立体構造について再検証する必要があることが明らかとなった。

【C79–C104フラグメントの立体構造解明に向けた計画】

C91–C99鎖状部位においては不斉中心が7つあるため、考え得るジアステレオマーの数は26 = 64個である。この64個のジアステレオマーを全て合成できれば、合成品と天然物とのNMRデータの比較により、C79–C104フラグメントの立体構造を解明できるが、この手法は非現実的である。そこで我々は、効率的かつ現実的な方法として、C79–C104フラグメント4をC79–C97フラグメント5とC94–C104フラグメント6に分割することとした(Scheme 2)。5および6の立体構造をそれぞれ決定した後、C95位の立体化学を介してそれらをつなぎ合わせることで、C79–C104フラグメント4の立体構造を決定するという計画である。

【C79–C97フラグメント5a–5hの立体発散的合成】

 C79–C97フラグメントの鎖状部位には不斉中心が3つあるため、Figure 2に示す8つのジアステレオマーが考えられる。そこでこれらを統一的かつ立体発散的に全て合成することとした。まず、アルデヒド7とジチアン8とのカップリングを行うことで、C93エピマーの関係にある9および10を合成した(Scheme 3)。続いて、ジチアン部位の加水分解を行うことで、5aと5bの合成中間体となる11および5cと5dの合成中間体となる12をそれぞれ合成した。次に11から5aへの変換を検討した。アルコール11をTBSエーテルへと変換した後、C93位の立体化学を利用したFelkin–Anh型の還元について検討を行った(Scheme 4)。そ

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