天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
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Indolo[2,1-b]quinazolineアルカロイドの簡便全合成
阿部 匠伊藤 智貴田口 諒石倉 稔
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抄録

1. 序論

 近年、インドロ[2,1-b]キナゾリンを基本骨格とするアルカロイド群がPhaius mishmensis (Orchidaceae)1)、Isatis indigotica (Cruciferae)2)、や Cephalantheropsis gracilis (Orchidaceae) 3)から相次いで見出されている (図1)。Phaitanthrin D (6)とラセミ体として単離されたcruciferane (8)を除き、絶対立体配置はX線結晶構造解析により決定された。また2014年、中国伝統薬物成分として知られるtryptanthrin (1a)の8位メチル体1bに、胚性腫瘍 (Embryonal Carcinoma) 細胞から心筋様細胞 (cardiomyocyte-like cell)への分化促進作用を有することが報告された4)。インドロ[2,1-b]キナゾリン骨格を有する特異な構造とともに多彩な生物活性を示すことから、新規合成法の開発や生物活性について大きな関心を集めている5)

 これらインドロ[2,1-b]キナゾリンアルカロイド1-9の合成では、キナゾリン骨格の構築が鍵となる。今回我々は、インドロ[2,1-b]キナゾリン簡便合成法の開発とその応用性の検討を行い、6を除くインドロ[2,1-b]キナゾリンアルカロイドの全合成を達成した。本討論会では合成の経緯と詳細について報告する。

2.合成計画

 我々の合成計画をScheme 1に示す。まず、インドール-3-カルバルデヒド (10a) および スカトール (11a)の酸化反応により生じるホルメート12aの酸化的二量化反応によるtryptanthrin (1a) のワンポット合成を計画した (式1)。Phaitanthrin A (3), B (4)、cruciferane (8)とcephalanthrin A (9) は 合成した1aから変換することとした。また、イサト酸無水物 (13a)と10bの酸化的縮合によりインドロ[2,1-b]キナゾリン骨格が構築出来れば、phaitanthrin C (5) へ変換できると考えた (式2)。

Phaitanthrin E (7) はインドールカルボン酸メチルエステル (15)とイサト酸無水物 (13a)の縮合/C-Hアミノ化反応によりワンポットで合成できると期待した (式3)。

 これら合成計画の特徴として、1) ワンポットもしくは短工程であること、2) 出発原料が安価に市販されているため各種誘導体合成に適していることが挙げられる。

3.酸化的二量化反応によるインドロキナゾリン1の合成

 これまでに我々は、複素環アルデヒドのDakin酸化によるキノンのワンポット構築法を鍵反応の一つとする抗腫瘍性抗生物質calothrixin AとBの全合成を報告している6)。全合成の検討途上において、Dakin酸化のモデル基質としてインドール-3-カルバルデヒド (10a) を用い検討したところ、偶然にもtryptanthrin (1a) がワンポット反応操作で得られた (スキーム 2)。この発見を契機として、1aの簡便合成法の開発研究に着手した。まず、アルデヒド10aを基質として用いDakin酸化を検討した (表1)。酸化剤としてmCPBAを用いた場合、収率5%で1aを得た。過酸化水素を用いた反応において目的物を得ることはできなかったが、触媒量の(PhSe)2を加えると収率が向上した。さらに検討した結果、過酸化尿素を用いると収率55%で1aが得られることを見出した。さらに、置換基を持つアルデヒド10のDakin酸化を検討した結果、種々の置換基R1を持つ1を得た7)

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