主催: 第60回天然有機化合物討論会実行委員会
会議名: 第60回天然有機化合物討論会
開催地: 久留米シティプラザ
開催日: 2018/09/26 - 2018/09/28
p. 19-24-
【緒言】 Chippiine型アルカロイドは、キョウチクトウ科Tabernaemontana属植物より単離・構造決定された複雑なかご型骨格とインドール二位隣接四級炭素を有するモノテルペノイドインドールアルカロイドである。これに属するtronocarpine (1) 1)およびdippinine B (2) 2)は、KamらによりTabernaemontana corymbosaからそれぞれ2000年及び2001年に単離・構造決定されたchippiine型アルカロイドである。これらは共通して、1) インドールに6-6-7員環が縮環した五環性かご型骨格、2) インドール二位隣接四級炭素、3) インドール窒素部分のへミアミナール構造を有している。1の生物活性はこれまでに報告がないものの、2はビンクリスチン耐性がん細胞に対して、その耐性を阻害するという興味深い生物活性が報告されていることから有望な医薬品シード分子と考えられている3)。しかしながら、これまでに1の骨格合成は行われているものの、これらの全合成は報告されていない。そこで我々は、1及び2の創薬化学研究へと展開するための基盤として、これら化合物群の初の全合成を目指し研究を開始した。 【合成戦略】 Scheme 1: Tronocarpine (1)とDippinine B (2)の合成戦略