天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
第60回天然有機化合物討論会実行委員会
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39. ポリエーテル生合成経路中に存在する新型ペア型酵素の戦略を解明する
澤田 光平南 篤志久米田 博之斎尾 智英松丸 尊紀及川 英秋前仲 勝実*尾瀬 農之
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 229-234-

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抄録

【背景】  ポリエーテル化合物は,海産微細藻由来のブレベトキシン,放線菌由来のモネンシン,ラサロシド,キジマイシンなどに代表されるように様々な生物が多種多様な骨格を持つポリエーテルを生産している。これら天然物は連続したエーテル環を分子骨格に持ち,生理活性において重要な役割を果たしている。例えば,ポリエーテル骨格による金属イオンのキレーション機構が知られており2, 3, エーテル環上の酸素原子が特定の金属イオンをキレートして電荷を包み込み,外側に疎水性領域の炭素骨格を向ける。これによって細胞内外のイオンの透過性が増加し,抗菌活性などを示す(イオノフォア)。ポリエーテル骨格としては,テトラヒドロフラン(THF)やテトラヒドロピラン(THP)のようなエーテル環が数珠玉状(モネンシンなど),もしくは梯子状(ブレベトキシンなど)に連結されたものである。こうしたポリエーテル系天然物の生合成経路,特に多くの不斉点を有するエーテル環の構築機構は,有機化学的にも非常に興味が持たれてきた。ポリエーテル骨格の構築機構は1983年に提唱されたCane-Celmer-Westley (CCW)モデル「ポリエン-ポリエポキシド仮説」(1)において,環化機構が統一的に説明された。このモデルでは,鎖状ポリオレフィン前駆体がエポキシ化され,生成したポリエポキシドが位置選択的なエポキシド開環反応によりポリエーテル骨格が構築される。 Scheme 1. Monensin B biosynthesis pathway catalyzed by MonBI and MonBII oligomer  私達は,Monensin生合成をモデルケースとしてポリエーテル骨格構築機構の解明に取り組んできた。多様性を決定づけるエーテル環の導入は,エポキシド加水分解酵素ホモログである環化酵素が担うことが,最近は広く知られてる。Monensinの場合,その骨格を構築するために3 回の5-exo 環化反応が必要である (Scheme 1)。しかしながら,モネンシン生合成遺伝子クラスター中には、環化酵素と相同性を持つ遺伝子がmonBI, monBII の2つしか存在しないため、この2つの環化酵素がどのように3 回の環化反応を触媒するかを解明することが,複雑なポリエーテル骨格構築メカニズムを一般化することと同義であると考えた。組換え発現させたMonBI,

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© 2018 天然有機化合物討論会電子化委員会
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