天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
第60回天然有機化合物討論会実行委員会
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5. ボロン酸触媒を用いた無保護糖に対する位置及び立体選択的グリコシル化反応の開発と応用(口頭発表の部)
*田中 将道中川 彰西 信哉高橋 大介戸嶋 一敦
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p. 25-30-

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抄録

【研究背景・目的】 天然には多様な生物活性を有する糖質が存在し、その効率的合成法の開発は作用機序解明や医薬品開発に展開する上で非常に重要である。これまでに、数多くの有用なグリコシル化反応が開発され、複雑な構造を有する糖質の合成が達成されているが、それらはグリコシル化反応における位置及び立体選択性を制御するために、保護基戦略に大きく依存しており、工程数の増加や原子効率の低下が問題となっていた。そのため、保護基を必要としない、位置及び立体選択的なグリコシル化反応の開発が強く求められている。このような背景の中、演者らは、ボロン酸触媒を用いた無保護糖に対する位置及び立体選択的グリコシル化反応の開発を行った。すなわち、ドナーとして選択した1,2-アンヒドロ糖1に対し、ボロン酸と無保護糖2を複合化したボロン酸―糖受容体エステル触媒3を作用させることで、無保護糖から直接的かつ位置及び立体選択的に1,2-cis-グリコシド6が合成できると考えた(Scheme 1)。 【ボロン酸触媒を用いた無保護糖に対する位置及び立体選択的グリコシル化反応】 まず、ドナーとして1,2-アンヒドログルコース7、無保護糖アクセプターとしてD-グルカール(8)を選択し、種々のボロン酸触媒9a-eを用いてグリコシル化反応を検討した(Table 1)。その結果、p-ニトロフェニルボロン酸(9e)を用いた場合に高い反応性を示し、望む(1,4)グリコシド10が49%の収率、過剰反応による三糖12及び13がそれぞれ8%及び15%の収率で得られることを見出した(entries 1-5)。望まない三糖12及び13は、ボロン酸エステル14eとドナー7のグリコシル化反応後に生じる9員環ボロン酸エステル15eによるドナーの活性化によって副生したと考えた(Figure 1)。そこで、反応系中に水を添加することで9員環ボロン酸エステル15eを速やかに加水分解し、15eによる7の活性化を阻害できるとの仮説を立て、水共存下で本グリコシル化反応を検討した。その結果、水を5当量加えた場合に、三糖12及び13の副生を伴わずに、望む(1,4)グリコシド10が92%の高収率かつ高い位置及び立体選択性で得られる事を初めて見出した(entry 6)。  次に、アクセプターの基質一般性を検討した(Table 2)。その結果、ドナー7を用い

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© 2018 天然有機化合物討論会電子化委員会
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