天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
第60回天然有機化合物討論会実行委員会
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16. 有機分子触媒を用いたラタノプロストの不斉全合成(口頭発表の部)
*河内  元希梅宮  茂伸谷口  透門出  健次林  雄二郎
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p. 91-96-

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抄録

【背景】 ラタノプロスト(1)は、ファイザー社により開発されたプロスタグランジンF2αの誘導体であり、緑内障及び高眼圧症の治療薬として用いられている。その構造的な特徴として、五員環上に4つの連続する不斉点、及びω鎖上に不斉点を有することが挙げられる。本発表では、有機触媒を用いた不斉α-アミノオキシ化によるω鎖上の不斉点構築及び形式的不斉[3+2]付加環化反応による光学活性シクロペンタン骨格の構築、またその後の五員環上の4つの連続する不斉点の構築を基盤とするラタノプロスト(1)の全合成について報告する。 【鍵反応の説明】 まず、今回の合成の鍵反応について説明する。有機分子触媒は水や空気に安定であり取り扱いが容易であるという点から、近年有機触媒を用いた反応開発が盛んに行われている。当研究室においても有機触媒を用いた反応開発を行っている。 1) 当研究室が独自に開発したジフェニルプロリノールシリルエーテルを用いたスクシンアルデヒドとニトロアルケンの形式的不斉[3+2]付加環化反応による光学活性シクロペンタン骨格構築法を開発し(式1)1)、その反応を鍵とするPGE1メチルエステルの3ポット合成を達成した2)。 2) プロリンを触媒とするアルデヒドとニトロソベンゼンの不斉α-アミノオキシ化反応が高いエナンチオ選択性で進行することを2003年に報告した3)が、2017年にはプロリンカリウム塩を触媒として用いると、プロリンを用いた場合と比べ反応性が格段に向上することを見出した(式2)4)。 一方で、当研究室では入手容易な化合物からの有用な骨格への変換反応法の開発も行っている。 3) アルドール反応と続くWittig反応により容易に入手可能なδ-ヒドロキシエノンに対し、Bi(OTf)3及びNaClO4存在下、アルデヒドを作用させると立体選択的に1,3-syn-ジオール骨格が合成できることを報告した(式3)5)。 4) ニトロアルケンに対し酸素雰囲気下でDABCOを作用させるとNef反応が進行し、α,β-不飽和ケトンが得られることを見出した(式4)6)。

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© 2018 天然有機化合物討論会電子化委員会
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