天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
第60回天然有機化合物討論会実行委員会
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17. 八置換シクロペンタン骨格を有するパクタマイシン類縁体の合成研究(口頭発表の部)
*Taejung Kim松平 壮松下 昇平土井 剛廣田 真司Young Tae ParkJungyeob Ham犀川 陽子中田 雅也
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 97-102-

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抄録

パクタマイシン(1)1は1961年、Argoudelisらのグループにより放線菌Streptomyces pactum var. pactumの培養液より単離され、1972年にその誘導体のX線結晶構造解析により絶対立体化学が決定された抗生物質である。1は、長年にわたり生物活性に関する研究が数多く報告されており、in vitro及びin vivoにおける抗癌、抗マラリア、抗ウイルス活性はもとより、タンパク合成阻害による強力な抗菌活性を示す代表的な天然物として報告されている。しかし、次々と興味深い生物学的研究がなされているものの、正常細胞に対する強い毒性により臨床的な研究には用いられていないことから、その類似の骨格を有する類縁体及び合成中間体を含む誘導体からの新規有用物質の探索研究が強く求められている。我々はその第一段階として、1と類似の骨格を有しながら培養液からは極微量でしか得られないパクタラクタム(2)2に着目した。2は未だ全合成の例は報告されておらず、詳細な生物活性に関する研究が行われていないため、今回独自の合成戦略に基づき2の全合成研究に着手した。2の全合成を達成するためには、最も難関とされる3連続含窒素官能基を有する八置換シクロペンタン骨格の構築をいかに効率的に行うかが重要である。まず我々は左側のα-アミノアルコールに相当する部分(C1, C7, C8)がアミノ酸であるL-トレオニン(3)より誘導できるオキサゾリン4の構造と一致することに注目し、出発原料として3を用いることにした(Scheme 1)。そして、アンチ型の窒素官能基を持つ二つの不斉炭素(C2, C3)は3のメチル基の立体環境を利用して、5から立体選択的にアジリジン6へ導いた後、位置選択的アジリジンの開環反応を行うことでコア化合物7を構築できると考えた。まず、 望む立体化学を有する含窒素不斉四置換炭素及び中心骨格となるシクロペンタンの構築について次のように行った。 Scheme 1. Synthetic strategy of pactalactam (2) from L-threonine (3). 1.シクロペンタン中心骨格の構築 最初にL-トレオニン(3)より既知の工程にて得られるオキサゾリン43に対しアルデヒド8とのカップリングを行い、分離可能なアルコール9と10を1:1で得た

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