天理医学紀要
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原著
白血化と骨髄浸潤を主体としたバーキットリンパ腫・白血病 (BL/L) の臨床病態と治療転帰:単施設における全11 例の後方視的観察研究
飯岡 大岸森 千幸福塚 勝弘林田 雅彦丸山 亙赤坂 尚司大野 仁嗣
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2020 年 23 巻 2 号 p. 58-73

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抄録

【緒言】白血化と骨髄浸潤を主体としたバーキット白血病リンパ腫(BL/L) の臨床病態と治療転帰を明らかにする.【患者と方法】アグレッシブB 細胞リンパ腫の内,1) 白血化と骨髄浸潤を認める,2) 腫瘍細胞がFAB 分類L3 の形態的特徴を有しB 細胞関連抗原を発現している,3) Ig 遺伝子と8q24/MYC の相互転座であるt(8;14)(q24;q32), t(2;8)(p11-12;q24) またはt(8;22)(q24;q11) のいずれかの染色体異常を有している症例をBL/L と定義し,2006 年から 2017 年の期間に当院で診療したBL/L 全11 例の臨床病態および治療転帰について後方視的に解析した. 【結果】発症時年齢中央値61 歳 (16–78).B 症状を7 例,脳神経麻痺やnumb chin syndrome などの神経症状を 3 例で認めた.白血球数は4.0–73.0×10 3 /µL ( 中央値 18.26×10 3 ),白血病細胞比率は2.5–81.2% ( 中央値 15.0%).全例でLDH 値の顕著な増高 ( 中央値 4,103 U/L),8 例で尿酸高値を認め,特に尿酸の顕著な増高を伴った2 例 (23.7, 33.8 mg/dL) では腎不全を認めた.骨髄穿刺またはスタンプ標本の鏡顕ではFAB 分類でL3 に該当する細胞の浸潤 ( 鏡顕分類での比率40.1–80.9%) を認め,フローサイトメトリーでCD10, CD19, CD22, CD38 およびHLA-DR が全例で陽性,CD20 が10 例で陽性,surface Igが9 例で陽性.骨髄生検では腫瘍細胞の顕著な増生を認め,2 例でstarry sky appearance,1 例で骨髄壊死を伴った.免疫染色では7 例中6 例でMYC 陽性,全例でBCL2 陰性,全例でKi-67 は90% 以上陽性.染色体・FISH では10 例でt(8;14)(q24;q32),1 例でt(2;8)(p12;q32) を認めた.初回治療はDA-EPOCH 4 例,Hyper-CVAD 4 例,CODOX-M/IVAC 2 例,miniCHOP 1 例,9 例でrituximab を併用, 2 例は腎不全のため治療導入時に透析治療を要した.観察期間中央値112 か月で,5 年無増悪生存割合(5-yr PFS) は61%.初回治療を計画通り完遂できた5 例 ( 年齢中央値 49 歳) と未完遂6 例 ( 同67.5 歳) の5-yr PFS はそれぞれ100%と33% (P = 0.04) であった. 【考察】末梢血および骨髄の形態・組織像,免疫表現型,染色体遺伝子解析からBL/Lと診断した.B 症状を高頻度に認め,LDH 値および尿酸値の顕著な増高を伴った.強力な多剤化学療法によって長期生存が期待できるが,化学療法未完遂例は予後不良であったことから,特に高齢患者における至適治療法の確立が今後の検討課題である.

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© 2020 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
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